西郷拓馬
おい。そいつに手を出すな!!
沖田洸
え……?
オレが顔を上げると、そこには……西郷の姿があった。
西郷拓馬
洸、こっちだ……!
沖田洸
西郷!! どうしてここに……?
西郷拓馬
決まってるだろうが!! お前らを助けに来たんだよ!
沖田洸
まさか……西郷一人で、あの警備を突破したのか?
西郷拓馬
ああ。システム異常に乗じて侵入した。外の警備も甘くなってたからな。
西郷拓馬
それより、高杉はどこだ?
沖田洸
施設警備員につれていかれた。逃げようとしてたところを放電警棒で気絶させられたんだ。
西郷拓馬
くそっ。高杉の奴は頭でっかちで、実戦をわかってねえからな!
沖田洸
西郷、高杉の救出、手伝ってくれるか?
西郷拓馬
当然だ。そのために来たんだからな……?
噛み殺すように言うと、端末を一台、ポケットから取り出した。
沖田洸
それは……
西郷拓馬
高杉の進めてたロック解除の解析を俺が進めといた。現地テストといくか……!
西郷が周囲に向かって大声を張り上げた。
西郷拓馬
おい、お前ら! よく聞け!
声を聞いて収容された男たちがざわめいた。
薩摩藩士の収容者
西郷さん……? 本物なのか……?
沖田洸
(西郷が呼びかけただけで、皆の顔つきが変わった……?)
西郷拓馬
ああ。退屈凌ぎに暴れに来た! 悪いが手伝ってくれ!
沖田洸
西郷、まさか……
各部屋から一斉にロック解除の音がした。
薩摩藩士の収容者
おい、ロックが開いてるぞ……!
薩摩藩士の収容者
外に出られる……!!
薩摩藩士の収容者
道を開けろ! 西郷さんの頼みだ!!
収容者たちが次々と通路に出てくる。
西郷拓馬
コイツらに警備員を脚止めさせる……混乱に乗じて高杉を回収する!
沖田洸
なんでもアリだな、西郷は……!?
沖田洸
(だけど、西郷は薩摩藩士の英雄、心の支えだ。西郷なくして、薩摩藩士は動かせない……)
妨害を受けた警備員は、完全に混乱に飲まれている。 施設警備員 おい、邪魔をするな……ここを通せ!!
薩摩藩士の収容者
意地でも通すかよ……西郷さんの頼みだからな……? 施設警備員 この覚醒者どもが……おとなしくしろ……
薩摩藩士の収容者
うわあああーーーッ……!! 施設警備員 っ……くそっ……ここを通せ!
警備員は放電警棒を振り降ろし、被収容者は暴動で反撃する。
西郷拓馬
今は振り返るな。稼いだ時間を有効に使おうぜ。
沖田洸
ああ……行こう。