桂紫苑
いいザマですね、沖田洸?
思わず息を呑んだ。持っていたはずの片喰刀が床に転がっている……
沖田洸
刀を返せ。
睨み付けると、桂は愉しげに嗤った。
桂紫苑
返すわけがないでしょう……? 貴方に持たせておくには、あまりに危険ですからね。
桂紫苑
どうですか、刀を奪われて無力になった気分は?
沖田洸
これが、お前たちのやり方か。
桂紫苑
ええ。この先舐められては困りますから。
桂紫苑
沖田洸。貴方も新徴組での常識を捨ててください。ここは薩長のルールに合わせてもらいます。
沖田洸
ルール?
桂紫苑
ええ。今後、貴方が私たちに刃向かう度……同じ目に遭わせます。覚えておきなさい。
桂紫苑
で、貴方の持ち物は、全てこちらで改めさせて頂きました。
沖田洸
勝手なことを……
桂紫苑
気を悪くしたらすみません。でも、この街で生き残るには用心深さが必要でね。
そう言って、桂はオレの目の前にICレコーダーを突きつけた。
桂紫苑
これ、ICレコーダーですよね? こんなモノを持ち込んで、どういうつもりですか。
それは颯さんから借りていたものだ。オレがまだ、新徴組に入る前から……
沖田洸
返せ……
桂紫苑
返せ? 面白いことを言いますね。まあ貴方の任務に必要なものだとは承知していますが……
そこで、桂の態度が急変した。
桂紫苑
自分が何言ってるのかわかってんのか……!?
桂は激昂し、オレの頭を柱に殴りつけた。
沖田洸
ッ……!!
桂紫苑
返すはずねえだろうが!! 没収だ没収!! 舐めてるとブッ殺すぞ!!
乱暴に吐き捨てると、オレに揺さぶりをかけた。
桂紫苑
お前、新徴組の隠密だろうが? 本当のことを吐け。
沖田洸
ッ……!
桂紫苑
どうだ……改めて自分が取り調べを受ける気分は?
身動きのできないオレをギリギリと押さえつける。
沖田洸
う……っ……
桂紫苑
今からお前の面接だ。言え。ここに来たのは清河の差し金か?
沖田洸
離せ……